
整体院の院長として、日々多くの方の身体を見ていると、腰痛や肩こり、猫背などのお悩みを抱えている方に共通していることがあります。
それは、普段の「座り方」に問題があるケースが多いということです。
特にデスクワークが多い方は、一日の中で何時間も椅子に座っています。
そのため、少しの姿勢のクセでも、長い時間が積み重なることで身体への負担が大きくなります。
「背筋を伸ばしてください」
「姿勢を良くしましょう」
と指導されることも多いと思います。
しかし、ただ背筋を伸ばすだけでは、かえって身体に力が入り、疲れてしまうことがあります。
そこで意識していただきたいのが、「座骨で座る」ことです。
今回は、正しい座り方と座骨の使い方について、整体院の視点から詳しく解説します。
1.「座骨」とは?まずは身体を支える場所を知ろう
「座骨」という言葉を聞いたことはあっても、実際にどこにあるのか分からない方も多いのではないでしょうか。
座骨とは、骨盤を構成する骨の一部です。
椅子に座ったとき、お尻の下で硬く感じる左右の出っ張りが座骨です。
左右にある座骨が、身体を支える土台になります。
一度、椅子に座った状態で身体を少し前後に動かしてみてください。
お尻の下に、ゴリゴリと当たる場所がありませんか?
そこが座骨です。
正しく座るためには、この座骨を意識することが大切です。
座骨で身体を支えることができると、骨盤が安定しやすくなります。
骨盤が安定すると、その上にある背骨も安定しやすくなります。
反対に、お尻の肉に体重を預けるような座り方では、骨盤が後ろに倒れやすくなります。
いわゆる「仙骨座り」と呼ばれるような、椅子の背もたれに身体を預けた座り方です。
この姿勢が長時間続くと、腰や背中に負担がかかることがあります。
まずは「お尻ではなく、座骨で座る」という感覚を身につけてみましょう。
2.座骨で座ると、なぜ身体が楽になるのか?
座骨で座ることの大きなメリットは、身体を骨格で支えやすくなることです。
身体を支えるとき、筋肉だけに頼ってしまうと、どうしても疲れやすくなります。
例えば、背筋を一生懸命伸ばして姿勢を維持しようとすると、腰や背中の筋肉が常に緊張した状態になります。
最初は「姿勢が良くなった」と感じても、時間が経つにつれて疲れてきます。
そして最終的には、背中が丸くなったり、頭が前に出たりします。
これでは正しい姿勢を長時間維持することができません。
一方、座骨を椅子にしっかり当てて骨盤を安定させると、身体を骨格で支えやすくなります。
すると、余計な力を入れなくても姿勢を保ちやすくなります。
腰や背中への負担を減らすためにも、まずは「頑張って背筋を伸ばす」のではなく、「座骨で身体を支える」ことを意識してください。
整体では、姿勢を改善するときにも、単純に背筋を伸ばすことだけを目的にはしません。
骨盤や背骨、股関節などが自然に動ける状態を作ることが重要です。
そのうえで、日常生活の座り方を見直していきます。
3.正しい座り方は「5つのポイント」を意識する
では、実際に椅子へ座るときには、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。
ポイントは5つあります。
①頭の位置
あごを軽く引き、目線は少し下に向けます。
頭が前に突き出ると、首や肩に負担がかかりやすくなります。
パソコンを見るときも、顔だけを前に出さないようにしましょう。
②背中
背もたれに軽く支えてもらいながら、背筋を自然に伸ばします。
胸を張りすぎる必要はありません。
「背筋をピンと伸ばす」というより、上から引っ張られているような感覚がおすすめです。
③腰と座骨
今回もっとも重要なのがここです。
お尻の下にある座骨を意識して座ります。
骨盤を後ろへ倒しすぎず、座骨で椅子を押すようなイメージを持ちましょう。
④膝
膝の角度は、おおむね90度を目安にします。
太ももが床とほぼ平行になる高さが理想です。
ただし、体格によって最適な高さは変わります。
⑤足
足の裏を床につけます。
足が床についていると、下半身が安定します。
椅子に深く座りすぎたり、足を浮かせたりすると、身体が不安定になりやすくなります。
この5つをすべて完璧にする必要はありません。
まずは**「座骨で座る」ことから始める**だけでも十分です。
4.こんな「座り方」になっていませんか?
日常生活では、無意識のうちに身体が楽だと感じる姿勢を取っています。
しかし、「楽に感じる姿勢」と「身体への負担が少ない姿勢」は、必ずしも同じではありません。
例えば、
・椅子の奥まで深く座る
・骨盤を後ろに倒す
・背もたれに身体を預ける
・お尻の肉で座る
・足を組んで長時間過ごす
・パソコンに顔を近づける
といった姿勢です。
特に気をつけたいのが、骨盤が後ろへ倒れた状態です。
骨盤が後傾すると、その上にある背骨も丸くなりやすくなります。
すると、いわゆる猫背姿勢になりやすくなります。
さらに頭が前へ出ることで、首や肩にも負担がかかります。
その結果、
「肩がこる」
「首が重い」
「腰が痛い」
「背中が張る」
といった不調につながることがあります。
もちろん、これらの症状にはさまざまな原因があります。
座り方だけですべてを説明できるわけではありません。
しかし、一日の大半を座って過ごしている方にとって、座り姿勢を見直すことは身体の負担を減らす大切な一歩です。
5.正しい姿勢は「頑張る」のではなく「楽に座る」
整体院で姿勢について相談される方の中には、
「姿勢を良くしようとすると疲れます」
という方が少なくありません。
これは珍しいことではありません。
姿勢を良くしようとして、胸を張り、腰を反らし、肩に力を入れてしまうからです。
本来、良い姿勢とは、力を入れ続けなければ維持できない姿勢ではありません。
できるだけ自然に、無理なく身体を支えられる姿勢を目指すことが大切です。
そのためにも、まず座骨を意識してみてください。
椅子に座ったら、
「今、座骨で座れているかな?」
と確認します。
お尻がずり落ちていないか。
骨盤が後ろに倒れていないか。
足の裏が床についているか。
この3つを確認するだけでも、座り方への意識が変わってきます。
また、どれだけ正しい姿勢でも、同じ姿勢を何時間も続けるのはおすすめできません。
30分、1時間と座り続けるのではなく、時々立ち上がりましょう。
少し歩いたり、身体を伸ばしたりすることも大切です。
身体にとっては、「良い姿勢を固定する」よりも「適度に動く」ことが重要だからです。
腰痛や肩こり、猫背などが気になる方は、普段の座り方を一度見直してみてください。
特別な運動を始める前に、毎日何時間も行っている「座る」という動作を変えるだけでも、身体への意識は大きく変わります。
整体院では、姿勢だけを見るのではなく、骨盤や背骨、股関節など身体全体のバランスを確認しながら、お一人おひとりに合った身体の使い方をお伝えしています。
「正しい姿勢をしているつもりなのに腰がつらい」
「座っていると背中が丸くなる」
「長時間のデスクワークで肩や首がつらい」
そんな方は、普段の座り方に原因が隠れているかもしれません。
まず今日から、椅子に座ったときに**「お尻ではなく、座骨で座る」**ことを意識してみましょう。
身体を無理に固めるのではなく、骨盤を安定させ、自然に身体を支える。
それが、疲れにくい座り方への第一歩です。
あなたの身体は、毎日の「座り方」で少しずつ変わっていきます。
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