股関節の痛みや動かしづらさでお困りではありませんか?
その原因の一つに、股関節のクッションとなっている「関節軟骨」のすり減りがあります。そしてその軟骨の主成分であるコラーゲンの減少が進むと、関節にかかる負担が増し、痛みや可動域の制限が生じることがあります。
このような状態において、現代医療では「保存療法」が基本となり、痛みを抑える薬物治療やリハビリなどが行われますが、整体師の立場から見たとき、「いかに股関節に負荷をかけずにやさしく動かし、血液やリンパの流れを促すか」がとても大切になります。
今回は、股関節のコラーゲン減少による不調を抱える方に向けて、医療的な考え方に加え、整体的な視点からのケア方法や提案をお伝えします。
医療的な保存療法とは?
股関節の軟骨がすり減ってきた初期段階では、手術を行わずに痛みを抑え、症状の進行を防ぐ方法が多く用いられます。以下のような対処法が一般的です。
● 薬物療法
痛みや炎症を抑えるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などが処方されることがあります。
● 関節内注射
ヒアルロン酸やステロイドを関節内に注射し、関節の動きを滑らかにし、炎症を和らげます。
● 物理療法
温熱療法や電気治療などで血流を改善し、関節周囲の筋肉や組織を緩めます。
● 運動療法(リハビリ)
痛みのない範囲で股関節を動かし、筋肉を鍛えることで、関節にかかる負担を減らしていきます。
栄養と生活習慣からのアプローチ
医療的な治療に加え、日常の食事や生活習慣を見直すことも重要です。
● コラーゲンの摂取
関節軟骨の主成分であるコラーゲンを補うことで、間接的に関節の健康を支えることが期待できます。特にコラーゲンペプチドは吸収が良く、体内利用率も高いとされます。
おすすめの食品:
- フカヒレ
- 鶏の手羽先
- 牛すじ
- 鶏軟骨
- 鮭の皮 など
● ビタミンCと鉄分
これらはコラーゲンの生成を助ける栄養素です。ビタミンCは柑橘類、ピーマン、ブロッコリーなどに多く含まれ、鉄分はレバーや小松菜、ほうれん草などから摂取できます。
● 良質な睡眠
睡眠中に分泌される成長ホルモンは、組織の修復に関与しています。睡眠時間の確保と質の向上も、股関節ケアには欠かせません。
整体師としての視点:股関節をやさしく動かす
軟骨は、医学的には「再生しない」と言われています。確かに、すり減った軟骨自体が元通りになることは難しいかもしれません。しかし、人間の体には本来、自然治癒力があります。
整体の施術では、関節を強く動かすのではなく、周囲の筋肉や靭帯の緊張を和らげ、血流とリンパの循環を促します。特に、股関節に負担をかけずにやさしく動かす工夫が重要です。
● 仰向けでの運動
ベッドや畳に仰向けになり、太ももを左右に小さく動かす。このとき、痛みが出ない範囲で動かすのがポイントです。
● 座ったままでできる体操
イスに座った状態で、股関節を軸にして軽く膝を外側・内側に動かす。大きく動かす必要はなく、日常的に数分ずつ続けることで、可動域が広がってきます。
● 立ったままの動き
痛みがない方であれば、かかとの上げ下げ運動を行うこともおすすめです。ふくらはぎの筋肉を使うことで、股関節の周囲の血流が改善します。
姿勢の重要性:座る時こそ自然治癒の鍵
現代人に多いのが、座っている姿勢の悪さです。猫背になったり、お尻を丸めて腰が落ちた座り方では、股関節に負担がかかり、血流も滞ってしまいます。
整体院では、以下のような座り方を推奨しています。
- 坐骨で座る(お尻を後ろに引いて、骨盤を立てる)
- 骨盤の真上に頭を乗せるようなイメージ
- 膝の角度は90度前後、足裏全体を床につける
これにより、骨盤と股関節の位置が整い、関節にかかる負担が分散され、自然治癒力が発揮しやすい体内環境が生まれます。
再生医療という選択肢
近年では、自分の血液を使って組織の修復を促す「PRP療法(多血小板血漿療法)」なども選択肢として注目されています。再生医療はまだ保険が効かないことが多いですが、特に重症化した股関節痛には有望な手段とされています。
まとめ:負担を減らし、循環を促し、回復の力を引き出す
股関節の不調には、保存療法や栄養補給、運動療法などさまざまな方法がありますが、痛みを避けながら、負担を減らし、体液の流れを作ることが最も大切です。
そのためには、
- 無理のない範囲で股関節をやさしく動かす
- 姿勢を整え、坐骨で座る習慣をつける
- コラーゲンを意識した食事と、ビタミン・ミネラルの摂取
- 睡眠の質を高める
- 日々、少しずつの積み重ねを継続する
こうした小さな積み重ねが、やがて大きな変化につながっていきます。
整体師としての私たちは、**「痛みのない体づくり」と「体が自分で回復していく力を引き出すサポート」**を常に大切にしています。
股関節の痛みでお困りの方は、ぜひ一度、やさしい整体と日常ケアを見直してみてください。
ご自身の体は、ご自身の味方です。
そして、体はまだまだ回復する力を秘めています。