酉(とり)についてのコラム

陰陽五行と酉

酉(とり)は、陰陽五行説において「金」に属します。五行は、木、火、土、金、水の五つの元素から成り立っており、それぞれが相互に影響し合うことで宇宙の調和が保たれています。金のエネルギーは堅固で収縮する性質があり、物事の結実や完了を象徴します。酉のエネルギーは、成熟と収穫の象徴であり、秋の季節と深い関係があります。

暦(旧暦)から見た酉

旧暦では、酉は十二支の10番目に位置しています。十二支は、子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥の12の動物で構成され、それぞれが一年の月や時刻を表しています。酉は8月を司り、この月は秋の収穫期とされます。農作物が実り、収穫を迎えるこの時期は、金のエネルギーが最も強くなる季節でもあります。これにより、酉の象徴する力強さや完成のエネルギーが最大化されるのです。

季節や時間

酉の季節は秋です。特に、旧暦の8月、すなわち現代の暦でいうと9月から10月にかけての時期が酉の期間とされています。秋は収穫の時期であり、自然界のエネルギーが収縮し、保存へと向かう時期です。収穫された作物は貯蔵され、冬に備える準備が進められます。酉は「実り」と「収穫」の象徴であり、この時期の自然界のリズムに合致しています。

酉の時間は午後5時から7時(申の時間の次の時間帯)です。この時間帯は一日の終わりに向かってエネルギーが収束する時間であり、家庭へ帰り、リラックスする時間です。この時間帯は、活動を終えて安らぎを求める時間であり、身体と心を整える重要な時期です。

方角

酉の方角は西です。西は日が沈む方向であり、昼の活動が終わりに近づくことを象徴しています。西の方角は、収束と収斂のエネルギーが強く働く場所であり、静けさや休息をもたらす場所とされています。風水においても、西の方角は金運や財運に関連付けられています。

酉の色は白です。金の元素に対応する色であり、清浄さや純粋さを表します。白はまた、秋の収穫期に見られる霧や霜の色とも関連しています。さらに、白は新たな始まりを意味し、収穫後のリセットを象徴する色でもあります。

鳥の特徴

酉(とり)は、鳥を象徴する干支でもあります。鳥は古来より、飛翔や自由、視野の広さを象徴する存在として尊ばれてきました。酉の干支に関連する鳥の特徴は以下の通りです。

  • 飛翔と自由: 鳥は大空を自由に飛び回ることができ、その姿は人々に自由と解放感をもたらします。酉のエネルギーもまた、束縛からの解放や新たな視野の広がりを象徴します。
  • 視野の広さ: 鳥の視力は非常に優れており、高い空から地上を見渡すことができます。この視野の広さは、酉の人々に洞察力や先見性を与えます。
  • 時間の感覚: 鳥は自然のリズムに敏感で、特に朝や夕方に活動することが多いです。酉の時間である午後5時から7時もまた、一日の終わりを感じさせる時間帯であり、リズムを重視する生活を象徴します。

まとめ

酉(とり)は陰陽五行説において「金」に属し、十二支の10番目に位置します。旧暦では8月を司り、季節では秋、時間では午後5時から7時、西の方角、そして色は白を表します。これらの要素を組み合わせると、酉は収穫と収束、静けさと浄化を象徴する存在と言えます。また、鳥の特徴として飛翔や自由、視野の広さ、自然のリズムとの調和が挙げられます。酉のエネルギーを活かすことで、人生においてバランスと調和を保ち、新たな視野を広げることができるでしょう。