「八方ふさがり」なときこそ使いたいポジティブな言葉

人生には、「なんだかうまくいかない」「次から次へと問題が降ってくる」という、いわゆる“八方ふさがり”と感じる時期があるものです。そんな状況では、つい「もうダメだ…」「やっぱり自分なんて…」といったネガティブな言葉を口にしがち。もちろん悩みを吐き出すことも大切ですが、必要以上に悲観的な表現を繰り返すと、自分自身の心がさらに重くなってしまうことがあります。

しかし、そうした状況から抜け出すために役立つ方法の一つに、「ポジティブな言葉をあえて口に出す」というシンプルな行為があります。特に下記のような言葉には、聞くだけでも明るいエネルギーを感じるものがあるのではないでしょうか。

  • 「ぜったい大丈夫」
  • 「必ずうまくいく」
  • 「いつも晴れ晴れ」
  • 「どんな時も朗らか」
  • 「よかった」
  • 「しあわせ」
  • 「おいしい」
  • 「大好き」
  • 「ありがとう」

たとえ現状が思わしくないとしても、こうした前向きな言葉を頻繁に使うことで、自然と笑顔になれたり、気持ちが軽くなったりすることがあります。「そんな簡単なことで、状況が変わるわけがない」と感じる方もいるかもしれません。けれど言葉には不思議なパワーがあって、何度も繰り返しているうちに、自分でも気づかないうちに少しずつ考え方や感情が変化していきます。

この記事では、なぜこうしたポジティブな言葉が大きな力を持つのか、そして日常にどう取り入れていけばよいかを考えてみましょう。

◆ 言葉が心に与える影響

言葉の持つ力は、私たちが想像している以上に大きいものです。たとえば、誰かから「あなたは本当に頼りないね」と言われ続ければ、自信を失い、行動を萎縮させてしまうかもしれません。一方で、「あなたなら絶対にできるよ」「いつも頑張っていてすごいね」と励まされると、やる気や元気が湧いてきます。

このように言葉は、言われた人だけでなく、自分で発した本人にも影響を与えます。ネガティブな言葉を発すれば、自分の耳にも届きます。すると、それを繰り返し聞き続けた脳は「自分はダメなんだ」「やっぱり失敗するんだ」という認識を深めてしまいます。

逆に、ポジティブな言葉を繰り返し自分に聞かせていると、「自分は大丈夫だ」「必ず道は開ける」という自信につながり、前に進む勇気が湧いてくるのです。特に、「自分の声」を自分の耳で聞くという行為は、第三者から励まされるのとはまた違う説得力があります。自分で言って、自分で聞くからこそ、心に強く刻まれる効果があるのです。

◆ 苦しいときこそ「ポジティブワード」を口に出す

上記のフレーズのなかでも、一見すると気恥ずかしいものがあるかもしれません。たとえば「ぜったい大丈夫」「必ずうまくいく」などは、周囲に人がいる場所で口にすると、「強がっている」「根拠がない自信を持っている」などと思われるかもしれない、と心配になることもあるでしょう。

しかし、これはあくまで自分のための言葉です。周りにどう思われても、いま自分が少しでも前向きな気分になれれば、それだけで大きな意味があります。むしろ気になる場合は、人がいないところや、小声でもいいので言ってみるといいでしょう。

自分にとって自然に感じる形で繰り返し口に出すことが大切です。気持ちが落ち込んでいるときほど、はじめは抵抗感があるかもしれません。けれど「ちょっとでも試してみる」という小さな勇気をもって言葉を発しているうちに、だんだんと抵抗が薄れてくるはずです。

◆ 「日常のなか」で大切にしたいポジティブワード

  1. 「ぜったい大丈夫」
    何かを始めるとき、あるいはトラブルが起きたときに、「大丈夫、大丈夫」と自分に言い聞かせると、不思議と少し心が落ち着いてきます。客観的に見れば根拠がなくとも、まずは「大丈夫」と言い切ってみる。すると、意外とそこから建設的なアイデアが浮かんだり、行動につながったりするのです。
  2. 「必ずうまくいく」
    似た言葉で「うまくいく気しかしない」「成功するイメージしかない」といったフレーズを使う人もいます。失敗を想定することが必要な場面もありますが、悲観的になりすぎるのは逆効果。特に精神的に苦しいときは、あえて「大丈夫。絶対うまくいく」と言い切ってみましょう。
  3. 「いつも晴れ晴れ」
    人はどうしても「雨の日」に気分が沈むことがあります。ただし本当は、雨の日の匂いや音を楽しめる人だっています。どんな天気の日でも、「私は晴れやかな気分でいよう」という意識をもつだけで、心の状態が変わってきます。「いつも晴れ晴れ」なんて言葉を自分で言ってみると、少し笑ってしまうかもしれませんが、そこから気分が明るくなることもあるのです。
  4. 「どんな時も朗らか」
    これは周囲にも良い影響を与えてくれます。たとえ苦しいときでも、朗らかさを意識すると、意外と周りの人も協力的になってくれたり、味方になってくれたりします。朗らかでいることは、決して軽いことではなく、むしろ強さの証でもあります。
  5. 「よかった」
    どんな些細なことでも、「ああ、これができてよかった」「今日も無事に過ごせてよかった」と、まずは「よかった」と言う。すると、自分がいかに多くの恩恵を受け取っているかに気づきやすくなります。うまくいかなかった部分に目が行きがちなときこそ、「よかった」と言える要素を探すことが、気持ちを引き上げる一歩になります。
  6. 「しあわせ」
    「しあわせ」とは、人によってさまざまな形があるもの。何でもない日常のなかにも、小さなしあわせの種がいっぱい転がっています。それを見つけるための合言葉として、「しあわせ」という言葉を普段から使ってみると良いでしょう。「しあわせだなあ」と呟いているうちに、しあわせを感じる感度が上がっていきます。
  7. 「おいしい」
    食べることは生きること。忙しかったり、ストレスを抱えていると、食事をただの作業のように感じてしまうことがあるかもしれません。しかし、好きな食べ物を目の前にしたとき、「おいしい!」と素直に表現すると、それだけでちょっと元気が出ることがあります。シンプルに幸福を感じられる瞬間を、自分から作っていきましょう。
  8. 「大好き」
    人でも物でも、あるいは自分自身でも「大好き」と言えるものを見つけることは、とても大事です。「大好き」と口にするたびに、その対象に対する感謝と愛着が育まれ、喜びも深まっていきます。ときには、自分自身に向けて「私って、けっこう大好きなところあるな」と肯定することでセルフイメージを高めてみるのも有効です。
  9. 「ありがとう」
    最後に、「ありがとう」という言葉は、ポジティブな言葉の王道とも言えます。誰かから何かしてもらったときはもちろん、自分が頑張ったときも、「自分にありがとう」「生きていることにありがとう」と唱えてみる。どんなに小さなことでも感謝をすると、心が穏やかになる効果は絶大です。

◆ 「言葉」を習慣化するコツ

  1. メモや付箋に書いておく
    ポジティブな言葉を目に見えるところに貼っておきましょう。たとえば洗面所の鏡やパソコンの脇、スマートフォンの待ち受け画面など、日々必ず目を向ける場所に置くと、自然に意識が向きます。
  2. 寝る前・起き抜けに唱える
    人間の脳は、入眠前と目覚め直後に潜在意識が働きやすいと言われています。ベッドの中で「ぜったい大丈夫」「明日もいい日になる」とつぶやいたり、起きたときに「今日も朗らかにいこう」と口にしたりすると、1日の気分が大きく変わるかもしれません。
  3. 誰かにシェアしてみる
    自分の大切な友人や家族、パートナーなどに、「実はこんな言葉を言うようにしているんだ」とシェアしてみましょう。共感してもらえたら一緒に口にするのもいいですし、理解されなくても「自分はこれが大事なんだ」と宣言するだけで、意識が強化されます。
  4. 恥ずかしさを感じても続ける
    はじめは「こんなこと言っても、現実は変わらないのでは」「なんだか自己暗示っぽくて恥ずかしい」と思うかもしれません。しかし、だからこそ続けてみることが大切。何もしないよりは、確実に心の持ちようが変わってくるのを感じられるはずです。

◆ 困ったとき、落ち込んだとき、辛いときにこそ

「八方ふさがり」と感じるときは、たいてい頭の中が不安や否定的な言葉でいっぱいになりがちです。でも、そんなときこそ「ぜったい大丈夫」「必ずうまくいく」と言ってみてください。心の中の声が「そんなわけないよ」と否定したとしても、とりあえず声に出してみる。落ち込んでいるときほど、言葉の影響は大きくなります。なぜなら、マイナスの感情が強いときはプラスを取り入れる余地も実は大きいからです。

言葉は目に見えません。しかし、その積み重ねは確実に私たちの考え方や行動を変化させます。これは自己暗示や思い込みとも言えますが、それが自分を前に進ませてくれるのであれば、活用しない手はありません。

◆ 素直に、勇気をもって、いつでも言えるようになるために

人は、素直になることをどこかで「弱い」と感じがちです。けれど、本当に強い人というのは、むしろ素直に表現できる人なのではないでしょうか。傷つくかもしれないし、笑われるかもしれない。でも、それでも言う。自分の思いを、優しく言葉にして伝える。それは大きな勇気のいる行為です。

ポジティブな言葉は、単なる楽観や根拠のない自信を指しているのではありません。「自分にとって、いま大切にしたいこと」をしっかり再認識するための助けとなるものです。だからこそ、落ち込んでいるときや困っているときには、「大好き」「ありがとう」といった言葉をあえて発してみて、心を温かくし、エネルギーをチャージするのです。

まとめ

  • ポジティブな言葉をあえて使うと、心の状態が徐々に変わっていく。
  • 「ぜったい大丈夫」「必ずうまくいく」「ありがとう」など、前向きな言葉ほど、苦しいときこそ効果を発揮する。
  • 「自分で言って、自分で聞く」ことで、潜在意識にポジティブなメッセージが刻まれやすい。
  • ほんの少しの勇気と素直さをもって続けることが、幸せな心の土台を作っていく。

八方ふさがりの状況に陥ったときこそ、強い心が試されます。だれだって落ち込むときはあるし、マイナスな思考が巡ることもあるものです。でも、そこで終わらせずに、一歩踏み出すための「言葉」をぜひ活用してみてください。自分自身を励ます言葉を、どんなときも堂々と、あるいは小さな声でも構いません。とにかく自分に投げかけてあげること。すると、周囲の景色が少しずつ変わりはじめるのを感じられるでしょう。

あなたがどんな状況にあっても、「ぜったい大丈夫」「必ずうまくいく」と信じ続けることは、けっして無駄にはなりません。その言葉をきっかけに、行動や選択が前向きになり、かならず好転するタイミングがやってくるはずです。忘れそうになったときは、またこのポジティブな言葉たちに立ち返り、そしていつでも声に出してみましょう。あなたの人生が、より晴れやかで豊かなものになるよう、心から祈っています。